にちぶんにっき

早稲田大学日本語日本文学コース室のブログです。

日文コース室の本3冊の紹介

明けましておめでとうございます。東堂です。
正月気分も落ち着いて間もなくですが、今日と明日は修論提出日です。東堂も最後の最後まで目次やら概要書(別冊)で粘った記憶がありますね。
あと一息、無事に提出できますように!

さて、本日、図書館からの「特別貸出」という形で日文コース室の蔵書が増えました。東堂の工作により、近代文学研究の方向けのセレクトです。

1,大澤真幸吉見俊哉鷲田清一編集委員)、見田宗介(編集顧問)『現代社会学事典』(2012年12月)
文学って言ってるのにいきなり「社会学事典」かい! と突っ込むなかれ。
近代文学の研究には社会学で培われた基本的な知見が多く流入しているのは御存知の通りかと思います。ですがコース室にはそれらのキーワードをさっと調べられるような図書がなかったので、この機に導入してみました。
社会学」と銘打ってはいますが、象徴界想像界現実界のような哲学分野のワード、ほか心理学関係(フロイトユング関係の語が多いような)、メディア論、ほかキャラ/キャラクターの項目などもあり多彩です。

2,小森陽一『文体としての物語・増補版』(2012年11月)
1988年に刊行された本の増補版。二葉亭の『浮雲』や、鷗外、一葉などの明治文学のビッグネームが扱われていますが、「新しい文体と物語が誕生した時代をとらえ、表現することと読むこと、聴くことに目を向けて近代文学の始まりを問う」という青弓社の紹介文の通り、模式図も交えてスリリングな読みが展開されます。

3,貴志俊彦・松重充浩・松村史紀(編)『二〇世紀満洲歴史事典』(2012年12月)
近代日本を考えるうえで欠かすことのできない「満洲」。ですが、そのイメージはなかなか掴みどころがないように思います。この事典では、総説とともに満洲に関わる事件人物などの項目を、アジア・太平洋戦争終戦後も含めて収録しています。

ちょうど1月7日発売の『新潮』に、全集未収録の漱石「満韓所感」が出たところでもあります。漱石は「満韓ところどころ」という紀行文的作品も残していますが、「所感」「ところどころ」ともに、明治末(そしてそれ以降)の日本人にとって、満洲とはなんだったのか、そして現在からどう捉えていくべきなのかを、考えさせるような要素があるように思いました。

本日はちょっと早めの16:30に閉室ですが、明日以降にでも、ぜひ本を見にコース室にお越しください。お菓子もありますよ!