にちぶんにっき

早稲田大学日本語日本文学コース室のブログです。

純喫茶探訪記 そのさん 上野「Coffee Shop ギャラン」

こんにちは、片栗粉です。
随分お久しぶりの純喫茶探訪記となってしまいました。

前回の記事以降もいくつか喫茶店を訪れたのですが、たいてい写真を撮り忘れてしまい、記事にし兼ねているうちに早数か月…。

というわけで(?)今回は、私にしては珍しく忘れずに写真を撮ったお店をご紹介したいと思います。

 

展覧会を観に上野を訪れる方は多いと思いますが、そんな上野界隈での美術館・博物館巡りの後にぜひ足を運んでほしいのが、アメ横側の「Coffee Shop ギャラン」です。

上野は日本における近代喫茶店発祥の地とのことで(明治21年に「可否茶館」が上野の明治製菓本社別館1階に開店するも、時代を先取りし過ぎたため客足が伸びず、すぐに閉店してしまったそう)、趣深い純喫茶が今もいくつかありますが、「Coffee Shop ギャラン」はそんなお店の一つです。

 


お店に着くと、まずはショーケースが出迎えてくれます。
「ギャラン」の文字がレトロできゅんとします(世の中の看板がこういうレトロなフォントで溢れればいいのに、と常々思っている)。
ショーケースの中には、「ザ・喫茶店」といった定番メニューの食品サンプル。パフェの生クリームの盛り具合がすごい。左奥のピザトーストの厚みも素敵。ベッドにしたい。
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お店は建物の2階にあります。階段下に置かれた看板の文字もこれまたかわいい。
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さらに素晴らしいのが、お店に続く階段の壁に施された電飾。電球がこれでもかとぴかぴか灯っていいます(ところどころ電球が切れているのもまたご愛嬌)。
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「ギャラン」という言葉の響きの不思議な力強さに胸を高鳴らせながら扉を開けると、店内もこれまた素晴らしい(ちなみにギャラン〔galant 〕はフランス語で勇ましい、勇気ある、洗練された、華麗ななどの意味だそうです)。期待を裏切りません。天井にはやたら電球の多い照明、壁にはレリーフに、花を象ったランプ。一瞬にして高度経済成長期の昭和にタイムスリップしてしまったかのようなギラギラ感です。
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足元のタイルはこんな感じ。なんてデコラティブ!!

一種装飾過剰なところが純喫茶の醍醐味の一つだと思うのですが、「Coffee Shop ギャラン」はその醍醐味を存分に味わわせてくれます。
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 店員さんは皆のタータンチェックの制服。ここにも懐かしさを感じます。

オムライスと紅茶のセットを注文。サラダ付き。装飾過多の気味のある内装とは対照的にシンプルでオーソドックスなオムライスで、どこかほっとする味でした。
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あらゆるところに昭和を感じる店内ですが、もちろんBGMも最近のJ-POPなんかを流していたりはしません。

ガロ「学生街の喫茶店

八神純子「想い出のスクリーン」

いしだあゆみ「あなたならどうする」

B.B.クィーンズ「おどるポンポコリン」

忌野清志郎&坂本龍一「い・け・な・いルージュマジック」

石川優子&チャゲ「ふたりの愛ランド」

山本リンダ「どうにもとまらない」

THE ALFEE星空のディスタンス

Sugar「ウエディング・ベル」

BOØWY「Marionette」…

と、70~80年代のヒット曲ノンストップ(当時の私は相当テンションが上がったのか、店内滞在時のBGMをなぜかメモに残していたので書いてみました)。

目でも、耳でも、舌でも思う存分に昭和の空気を味わえる、今となっては貴重な喫茶店です。

令和の時代も、「Coffee Shop ギャラン」は変わらずギラギラした昭和の雰囲気を振りまいていてほしい…と願うばかりです。

芸術の秋、上野での展覧会巡りに疲れたら、ぜひ「Coffee Shop ギャラン」で昭和の空気に浸りながら一息ついてみてください。