こんにちは。波留です。
今日も日本語について書こうと思います。
それにしても11月に入って寒い日も増えてきました。鍋の美味しい季節になってきましたね。
みなさんは何鍋がお好きですか?
醤油ベースの寄せ鍋、石狩風の味噌鍋、最近は豆乳鍋、トマト鍋、いろいろありますよねー。
「締め」も、うどん、雑炊…どれもあったまるしおいしいですよね。
ああ、日本語について書くんでした。
閑話休題。
そう、この「閑話休題」。
本来は、脇道に逸れた話を本筋に戻すときに使う言葉なのです。
ところが、「ここからは余談ですが…」というような、逆の意味に使う人がいます。
私の個人的な考えですが、このような解釈は、字面から意味を推測して生まれたのではないでしょうか。
「休題」というと、いかにも話を一旦やめて、関係のない話を始めそうな気がします。
そもそも「閑話休題」はなぜ「脇道に逸れた話を本筋に戻す」という意味になるのでしょうか。
この四字の言葉が「閑話」と「休題」に分けられそうなのは、すぐに思いつきますが、「閑話」と「休題」の関係はどうなっているのでしょう?
実はこれ、『「閑話」を「休題」する』のですね。
「閑話」は、「むだばなし、雑談」。
「休題」は、「それまでの話を中止すること」。
だから、『「閑話」を「休題」する』ことは、「脇道に逸れた話をやめること、本筋に戻すこと」の意味になるわけです。
「休題」の意味の取り方は、おそらく多くの人は間違えないでしょうが、「閑話」との関係がわからないために、「ここからは余談ですが…」という意味だと考える人が出てきたのかもしれません。
また、「閑話」という言葉も、字を見て「むだばなし、雑談」という意味がすぐには出てこないように思います。
「閑」という漢字がそもそもあまり日常で使わないものですしね。
使うとしたら「閑静な住宅街」という言い回しが挙げられるでしょうか。
「閑」が「静か」「暇」という意味をもつことには思い当たっても、「閑話」が「むだばなし」という意味になることは推測しづらいですよね。
『日本国語大辞典』を見ると、「閑話」の意味として
「内容に重きをおかない話。むだばなし。雑談。」
は二番目に載っており、
一番目に載っているのは
「心静かに話すこと。ゆったりとした気持で話すはなし。閑談。」
という意味で、こちらのほうが用例が古いようです。
正確なことはわかりませんが、「閑話」を「むだばなし」という意味で使うのが派生的な意味なら、やはりすぐに連想するのは難しいということがいえます。
このように、「閑話」が「むだばなし」という意味をもつこと自体が、「閑」という漢字から推測しづらい…ということも、「閑話休題」が本来の意味と外れて使われる要因かもしれません。
ところで先日、私の友人2人が、あることで言い合いになりました。
仲の良い2人なので、十分に論戦した上で一応和解しました。というよりも、論戦に疲れたような感じで、片方が「このへんで閑話休題ということで…」と言ったのです。
彼の「閑話休題」の使い方は、本来の意味ではありませんでしたが、そこから別の話を切り出したわけでもなかったので、「余談ですが」という意味でもなさそうでした。
どうやら、「休題」から、単に「話を中止する」という意味で使ったようでした。
また、少し古い調査ですが、平成14年度の文化庁「国語に関する世論調査」によれば、「閑話休題」という言葉を「使う」と答えた人自体が、調査対象者の1割に満たなかったということです。
これらのことから、「閑話休題」は本来の意味の代わりに「余談ですが…」という意味が普及しているわけでもなく、「意味が取りにくく使いづらい言葉」と思っている人も多いのではないかと思われます。
「日本語は、知らない言葉でも漢字を見れば大体の意味がわかる」といわれることも多いですが、字面を見ても意味がよくわからない、それどころか混乱する例もあるのではないか。という今日のお話でした。
それでは、みなさま風邪にお気をつけください。
【参考】
・『日本国語大辞典』(ジャパンナレッジより)
・文化庁『平成14年度「国語に関する世論調査」の結果について』
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/yoronchousa/h14/kekka.html