にちぶんにっき

早稲田大学日本語日本文学コース室のブログです。

今年もお世話になりました

こんにちは。波留です。


百人の蕎麦食う音や大晦日 江戸の川柳


うまい句が残っております。
今年も残り少なくなりましたね。


「おおみそか」は、一年で最後の「みそか」のことですが、「みそか」はもちろん「三十日」のことですね。
(「十」を「そ」と読むパターン。三十路、山本五十六、八十島…)


みそか」は、上の川柳のように「晦日」とも書きます。
「晦」は、「かい(クヮイ)」と読む漢字で、「日月の光がなく、空が暗いこと。やみ。くらがり。」(『日本国語大辞典』)を表わします。
旧暦で毎月三十日は基本的に月の出ない日(夜に月明かりのない日)なので、「みそか」=「三十日」=「晦日」となったようです。(「晦日」は「かいじつ(クヮイジツ)」とも読みます。)


また、月の最後の日を表わすことばとしては、「つごもり」もあります。
デジタル大辞泉』は、「つごもり」の語源を「『つきごも(月隠)り』の音変化。月が隠れて見えない意から」としています。
日本国語大辞典』も、変化の過程として「単純なキの音節の脱落による(ツキゴモリ→ツゴモリ)という説」には疑問を呈しているものの、「ツキゴモリ」(もしくは「ツクゴモリ」)を語源として考えているようです。


旧暦は月の満ち欠けを基準にしたものなので当たり前ですが、上に挙げた月の最後の日を表すことばはどれも、月の様子や30日周期を元にしたことばですね。
月の出ないみそか…なにか静かな印象です。こうして考えると、おおみそかの「百人の蕎麦食う音」が、より際立って耳に響いてくるようです。


年越しそばは、「つごもりそば」ともいうようです。
今年のおおみそかは、日本の暦や月の満ち欠けに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。


本年中のコース室の開室は、本日が最後となりました。
本年も大変お世話になりました。
新年最初の開室日は、1月7日(水)の予定です。


では、みなさまよいお年をお迎えください。