にちぶんにっき

早稲田大学日本語日本文学コース室のブログです。

すすめるレシピ

珍しく二週連続、千鳥です。開室早々クリスタルガイザーのふたを開けるのを失敗して凹んでいます。服が…!!
今週は先週に比べて涼しい日が続いていますね。それでも30℃は超えているんですから、堪えますが。
個人的体質ですが、室内と屋外との温度差が激しいとすこし立ちくらみがします。電車の乗り降りなんかでもくらっとくるようになってきたので、弱冷房の車両を探して乗る日々です。


先日佐助さんが『東電グラフ』の話をなさっていましたが、
レシピが載っているのは東京瓦斯株式会社が出していた『ガスニュース』の方です。
『東電グラフ』はクロスワードや豆知識などの面白コーナーがたくさんの印象。
どちらにせよ、私が書き出し作業中ヤダヤダとぶつくさ言っていたことは否定しません。笑


ところで折角「茶匙」の話で盛り上がったので、そのレシピを写して帰って作ってみました。
作り方まで載せると長くなるので、材料だけ書き出してみます。表記はすべてママです。出来上がりの画像と共に。


・枝豆と豚肉のいため煮
材料(五人前)
枝豆(莢ごと)八〇〇瓦、豚もも肉二〇〇瓦、酒、醤油、葱、生姜一塊、ラード大匙四杯、スープ五勺、塩、化学調味料、片栗粉。
(「ガスニュース」第三十四号/十月号 昭和三十三年十月五日発行)


・豚肉入りコーンスープ
材料(五人前)
豚の細切り一二〇瓦、玉ねぎ二〇〇瓦、バター大匙四杯、メリケン粉大匙六杯、トウモロコシ缶詰一缶、牛乳四合、水三合、塩茶匙一杯半、胡椒少々。
(「ガスニュース」第三十三号/九月号 昭和三十三年九月五日発行)


美味しゅうございました。
(豚肉ばっかりじゃないか、というツッコミが来そうですが豚肉があまっていたから試したんですよ!)


そして話題の茶匙=小匙。


既出の「茶匙(小匙)」に加え「メリケン粉」「瓦」「勺」と見慣れない語がちらほらありますね。
今よく読まれているレシピ集に比べて格段に漢字も多いです。「瓦」はグラムの漢字表記。「匙」や「葱」も今はひらがなで書かれることが多いのではないでしょうか(イメージですが)。
単位も「合」はまだぱっと計算できますが、「勺」は検索をかけてしまいます。
なお五勺は90.19500mlらしいんですが結局面倒になって目分量で調理しました。
当時の調理器具には五勺枡なんてまだあったんでしょうか。調べてみたい。


気になったのはレシピの最後に「温い内にすすめます」「盛り皿に盛って進めます」とあることです。
「温かいうちに召し上がれ」的なものなんでしょうが、意味が「食べるように促す」ものだとしたら、漢字は「進める」だと何となく違和感があるような。
私の感覚的には「勧める・奨める・薦める」の方がしっくりきます。そこで例によって日国で調べますと、
「飲食物を出してそれを飲食するように促す。また、座ぶとんや腰掛けを利用するように促す。」という説明はやはり「勧・奨・薦」の漢字があてられている方の項目にありました。
たとえば『源氏物語』には「御土器(かはらけ)などすすめまゐりたまふ」(=(酒を入れた)盃をお勧めになる)というような例が見えます(引用は行幸巻、新全集より)。
この場合も誰か人に「召し上がりませんか」と「推薦」するんだし、こっちの方が適切だよねぇ、と考えたところで、
「ご進物」という言葉があるのを思い出しました。これは「進上する物」なわけですから、「進呈・贈呈」と同じだろうし、
そうなってくると、もし料理を出す相手にたいして「さしあげる」「たてまつる」気持ちがあれば(お客様にお出しするとか)、「進める」でもいいのかも。
などと考えはじめるともうどう整理をつければいいのかさっぱりです。結局ひらがなで書くのが無難なんでしょうか。
まぁ、「進める」にも「物事が進行するようにする」という意味はありますし、そもそもどちらで書いたって同じ語源のようですから、深く考えないことに致します。
ともかく、私の手持ちの料理本たちにはそういった文句はあまり出てこないので新鮮です。なんだか丁寧でやさしい感じ。


非常にどうでもいい話なんですが、作っている最中せっせと枝豆を莢から取り出しながらずんだ餅が食べたくてたまらなくなる発作を起こしました。

たまにくるんですよね、むやみやたらと特定の何かを食べたくなる発作が。
どうやらずんだ餡は自作出来るようなのでしばらく経っても発作がおさらまらなければ作ろうと思います。
ずんだと言えば仙台は青葉城菓匠三全本丸店で売っている、ずんだシェークもおすすめです。ああ!旅行したい!!食べ歩きたい!!!


それでは欲望にまみれた記事大変失礼致しました。
来週やる気があればまじめな記事を書きたいと思います。あと、バテていなければ。どちらかと言うと後者の方が深刻ですね。
皆さまも体調にはご注意下さいませ。