にちぶんにっき

早稲田大学日本語日本文学コース室のブログです。

生命空間としてのプール

   されどプールの白き柩形冬青空    堀井春一郎


こんにちは。小倉です。
先日、いろいろと論文を検索していたところ、おもしろそうな論文を見つけました。その名も「学校プールに形成される水生昆虫相の成立要因に関する研究」です。
私は幼稚園の頃、プールに入ったらプールの底がトンボの卵だらけで足の裏がものすごく気持ち悪かったというトラウマをもつ人間なのですが(そして、このときほど早く泳げるようになりたいと強く願ったことはありません)、そんな私にとって読まずにはいられない論文なのであります。
この論文によれば、「学校プールは夏季以外の無管理期間には、多くの昆虫類が生息しており、どれもほぼ同様の形状をしていることから、生態調査の対象地として活用されている事例は多」いとのことです。学校のプールはそんな活用のされ方もあったんですね。
この論では東京都と千葉県の事例が調査されておりまして、「底に沈殿しているデトリタス(沈殿物)」を「スイーピング」した結果、主にトンボ目の昆虫などが多数観察されたようです。今までは私の幼稚園がものすごく田舎にあったからトンボも住んでいたのだと思っていたのですが、都会のプールにも生態系は存在しているとのこと。ただ、池などとは違い、その生態系はプール掃除によって毎年リセットされるので周囲の環境の影響を受けつつも若干異なるのではないかとの指摘もあるみたいです。
理系好きな人間としては大変勉強になりました。東京に出てきて、なかなか田んぼを見かける機会も無くなってしまいましたが、この冬空のもと、近くの小学校のプールにも生命が息づいているのかと思うとなんだかうれしいような気がしてきます。
ではまた。

参考文献
森川政人、小林達明、相澤章仁「学校プールに形成される水生昆虫相の成立要因に関する研究」「日本緑化工学会誌」2012年8月