こんにちは。小倉です。
エスペラントは1887年にロシア領ポーランドのザメンホフという人によって考案された人工言語ですが、例えば池袋に本店があるリブロという書店の名前は、エスペラントで本を意味する名詞(libro)だったりと、意外に現代の日本でも身近なところで見かけたりします。
気になる方はグーグル翻訳で「書籍」をエスペラントに翻訳してみてください。
エスペラントと日本文学といえば真っ先に想起されるのはやはり宮沢賢治です。
賢治 あなたは何者ですか。
伊藤 はい?
賢治 (紙?のKiu vi estas? を指して)それをエスペラントで「キウ・ヴィ・エスタス?」といいます。ハイ。
伊藤 キウ・ヴィ・エスタス。
賢治 ヴィとエスタスはわかりますね。
伊藤 ヴィは「あなた」、エスタスは「である」。
賢治 そこでこのキウですが、これは「だれ」という疑問詞です。英語でいえばフー・アー・ユー。ミ・エスタスはわかりますね?
伊藤 私は……である、です。
(井上ひさし『イーハトーボの劇列車』新潮社 1980年12月)
宮沢賢治をえがいた『イーハトーボの劇列車』より、賢治によるエスペラント講義の場面を切り取りました。
日本における最初のエスペラント教科書『世界語』(1906年7月)は、二葉亭四迷によって著されるなど、日本近代文学とエスペラントの関わりは浅からぬものがあります。
津村記久子の近刊『ポースケ』(中央公論新社 2013年12月)にも、世界中のエスペラントを話す人々のホームステイネットワークである「パスポルタ・セルボ」が登場します。こういった仕組みもエスペラントならではという感がありますね。
それではまた来週。