にちぶんにっき

早稲田大学日本語日本文学コース室のブログです。

日本近代文学館所蔵 太宰治自筆資料集正式サービス開始

こんにちは。小倉です。
夜9時頃家に帰り、そこから自分で作ったご飯が全然おいしくなかった時のやるせなさは相当なものですね。
新しいレシピは時間がある時に試すことにしようと思いました。


表題と全く関係ない話をしてしまいましたが、早稲田大学の学術情報検索で「日本近代文学館所蔵 太宰治自筆資料集」オンライン版が正式サービス開始となりました。
早稲田大学の学生であれば誰でもアクセスできます。
これは、家に居ながらにして太宰治の原稿・草稿・初出の画像を見ることができ、PDFのダウンロード・初出のフルテキスト検索までもができてしまうという画期的なデータベースです。
「駈込み訴へ」はありませんが、「人間失格」、「桜桃」、「右大臣実朝」など有名作品のほか、太宰治の中学・高校時代のノートもあり、近代を専門とする方でなくとも興味深いものになっていると思います。
資料集内の東郷克美先生のコラムにもありますが、これらの原稿・草稿類がかなり整備されているのは、津島美知子夫人の力によるところが大きいのは有名な話です。
「津島美知子を、最良の太宰治研究者と呼んでも過褒にはなるまい」(東郷克美「津島美知子頌」)という言葉にもありますように、今日の私たちがパソコンの画面上で画像として見ているものは、太宰治が生前着用していた和服の生地を表紙に用いて和綴にし大切に保存された原稿や、リンゴ箱に貼られていた反故を一枚ずつ丁寧にはがして復元された草稿であるということを忘れてはならないでしょう。
そして、100年後の文学研究は果たしてどうなっているのだろうかという思いにもかられます。もしかすると、書籍はもちろん、多くの原稿や草稿もアーカイブ化され、ウェブ上で見ることができるようになっていたりするのかもしれません。
もちろん、文学館で実際に資料を見るのもおもしろい発見がありますし、それと同時に「日本近代文学館所蔵 太宰治自筆資料集」もチェックしていただければ幸いです。
それではまた。