にちぶんにっき

早稲田大学日本語日本文学コース室のブログです。

いきつけのつけ

こんにちは。波留です。
夏休み中は毎週水曜日に開室してきましたが、来週水曜日の23日は祝日のため、閉室いたします。
そのため、本日が夏休み最後の開室日となりました。
みなさんの夏はどんな夏でしたか?


さて、特に脈絡はないのですが、今回のテーマは「いきつけのつけ」
と、ひらがなで書くと訳が分かりませんが、「“行きつけ”の“つけ”」について、です。


この“つけ”が何か、ご存じでしょうか。


実はこれは、「行きつけている」の“つけ”だと考えられているのです。
「“かかりつけ”の“つけ”」も同様に「かかりつけている」の“つけ”と考えられます。


こう聞いて、「ああ、『行きつけている』の“つけ”かー」とお思いになった方と、全然ピンとこない方がいらっしゃるのではないでしょうか。


「〜つける」は動詞に付いて、「普段し慣れている」ことを表します。
「食べつけている」など。


実は私、最近まで、この「〜つける」という表現を知りませんでした。恥ずかしながら。


みなさんの中にも、おそらく、意味は分かるが自分は使わない、という方は多いのではないでしょうか。
若い世代はあまり使わないと思われます。


また、地域差も、もしかしたらあるかもしれません。
江戸の人情本や、昭和の東京落語の録音で、この「〜つける」を見聞きしました。
現在の比較的若い世代…といっても20代や30代ではないのですが、使っていた例として、お笑いコンビ・バナナマンの設楽統さん(1973年生まれ)が「〜つける」と言っていたのを何回か聞きました。設楽さんは埼玉の秩父出身なので、そういった方言的な面があるのかなあ、となんとなく思いました。

ただ、『日本国語大辞典』を見ると、古く10世紀から『落窪物語』に「使ひつけたるわらはの…」などと使われていますし、全国的に「行きつけ」「かかりつけ」などの表現が使われていることを考えると、関東でしか使われてこなかったわけではないようにも思われますが…どうでしょうか。
もともと関東方言ではなかったが、今は関東に残っている度合いが強い、ということも考えられます。


みなさん、いかがですか?新学期にぜひコース室にお越しになって、私は使う、とか、聞いたことある、とか、まったく知らなかった、とか、お気軽に感想を聞かせてくださるとうれしいです。


新学期は、24日(木)から通常開室の予定です。またよろしくお願いします。


その前にシルバーウィーク、大学生にとってはもともと夏休みに含まれているのであまり関係ありませんが、お出かけされる方は、よい思い出になりますよう。
天候がまた不安定になりそうです。先日の大雨被害があった地域の方をはじめとして、みなさまが無事に過ごせますように。


では!