にちぶんにっき

早稲田大学日本語日本文学コース室のブログです。

国文学会秋季大会のお知らせ(12月4日は休室です)

こんにちは。12月になりました。
「先生も走り回るほど忙しいから、師走っていうんだよー」と子どものころ大人に言われた人は多いと思います。
でも考えてみると、それは「師走」という字ありきの説明で、「先生が走り回ること」と「しわす」という音を直接結びつけられるかというと、すっきりしません。


日本国語大辞典』の「師走」の項の語源説を見ると、第一に

(1)経をあげるために師僧が東西を馳せ走る月であるところから、シハセ(師馳)の義〔奥義抄・名語記・あい(引用者注:あいは土へんに蓋)嚢鈔〕。

というのが載っています。これはいかにも正しそうです。この時点で「師」は「師僧」で、指導的立場とはいえ「先生」とは微妙に違いますが、よく言われる「師走」の説明に割と近いですね。
しかし、

(2)四季の果てる月であるところから、シハツ(四極)月の意〔志不可起・和爾雅・日本釈名〕。

(3)トシハツル(歳極・年果・歳終)の義〔東雅・語意考・類聚名物考・和語私臆鈔・黄昏随筆・古今要覧稿・和訓栞〕。

というのもあり、ほかにも文献に複数の語源説があるようで、結局、ひとつの説に確定できなさそうです。


「先生も走り回るほど忙しい」というのは俗説の可能性があり、「師走」というのも当て字と思われますが、とはいえこれだけ定着するということは、それだけ12月の忙しいイメージにぴったりきているということでしょうね。


さて、忙しい12月、われわれもイベントがあります。
12月4日(金)、5日(土)に、早稲田大学国文学会秋季大会が開催されます。


学部生や外部の方向けに改めてご説明すると、国文学会は、日本語日本文学(およびその周辺領域)の研究をしている先生方・大学院生によって構成される、大学内の学会です。
学部の授業でも配布される『国文学研究』が学会誌です。学部生の方も会員になることはできます。

国文学会秋季大会は、年1回開催の、国文学会の研究発表会で、先生方や大学院生を中心とした会員が研究発表を行ないます。
聞きにいらっしゃるのにお金はかかりませんし、どなたでもお越しいただけます。ぜひみなさまいらしてください。


発表者・題目・時間は、こちら→ 国文学会秋季大会プログラム (日文コースHP内PDF(GoogleDriveで公開)に飛びます。)


なお、これにともなって4日(金)はコース室を閉室とさせていただきます。ご了承ください。


それでは、みなさまお忙しい季節でしょうが、お体に気をつけて。