にちぶんにっき

早稲田大学日本語日本文学コース室のブログです。

続・「眠い」は「寝むい」?

こんにちは、佐助です。


「眠い」を「寝むい」と書くことについて、試しに現代日本語書き言葉均衡コーパス:少納言で検索をかけてみましたら、『浅沼稲次郎』(人間の記録72巻、1998年刊、日本図書センター)の中、荘原達の書いた文章に


店の片隅に小僧さんが、いかにも寝むたそうに腰をかけている。


という一文があるのを見つけました。
え、じゃあもっとあるのでは!と青空文庫で検索をかけてみましたら、沼田一雄「暗夜の白髪」や宮本百合子の日記で「寝むい」という表記が出てきました。案外少なかったです(調べ方を変えればもっとありそうな気もいたします)。
ただ、これらが手書き原稿だったのだろうと考えると、こういう表記が出るのは別に不自然なことではありませんね。
その点で、インターネット上に見える「寝むい」とはやはり違うように思われます。
で、またtwitterで「寝むい」を調べてみると、まー出るわ出るわといった具合。ひとつのつぶやきに「眠い」と「寝むい」の両方を使っている人もいました。驚き。
その中から、わざと「寝むい」を使っているようすで、理由を書いていたつぶやきをいくつか抜き出してみます(あえてアカウント、日付など書きません)。


・寝むい(眠いんだけど寝てるみたいな微妙なニュアンス)
・眠いを寝むいと書きたくなるほど眠い。
・寝むい(明治時代の文豪とかが使ってそうな当て字)


なるほどー。
いつごろから「打ち言葉」でこういう表記が使われているのか、使う人は「眠る」と「寝る」をどういうふうに認識しているのかなど、疑問が沸き起こります。
はー不思議不思議。誰かレポートのネタに使ってください。



佐助でした。