にちぶんにっき

早稲田大学日本語日本文学コース室のブログです。

べんたう

こんにちは。
昨日は季節が一気に進んだような寒さだったのに、今日は一転、夏に逆戻りとまではいえないけれど、春のような陽気。小春日和というのは旧暦の10月ごろ、新暦の11月ごろのあたたかい日に言うことばだそうなので、今の時期に言うのはふさわしくないのですが、思わずそのことばが思い浮かぶような寒暖差です。


さて、しあさって10月11日は俳人種田山頭火の命日。
「一草忌」というそうです。亡くなる前年に松山に構えた「一草庵」にちなんでいるのでしょうか。
退学してしまったとはいえ、早稲田に在籍した人物です。


   うしろすがたのしぐれてゆくか


などの自由律俳句で知られる山頭火
お酒を愛したことでも有名で、酒の句もたくさん。


しかし本当に「自由」な句を残している山頭火
『行乞記』には、句という体裁でありながらも、自由律であることもあってただの日記メモのようなものが多くみられます。


   そのおべんたうをかみしめてあなたがたのこと


旧仮名遣いなので「おべんたう」はもちろん「お弁当」のこと。これなどはまだ「俳句っぽい」ですが、次の、


   けふのべんとうは橋の下にて

   けふのべんたうも草のうへにて


このあたりになると、俳句といえるのか…。


でも、やっぱりなにか、ただのメモとは違う、風情があるような気もしますよね。


   けふも大空の下でべんたうをひらく


外でお弁当を広げたくなるような陽気でした。
夜は冷える季節ですのでみなさまご自愛ください。


それでは。


(こちらを参考にしました→http://matome.naver.jp/odai/2137251772869366901?page=2