にちぶんにっき

早稲田大学日本語日本文学コース室のブログです。

雑草ノート19

こんにちは。小倉です。
秋もすっかり深まってまいりまして、戸山キャンパスの雑草もだんだん元気がなくなってきたような気がいたします。
そんななか、ハナミズキが実をつけていたので撮ってみました。


花水木の道があれより長くても短くても愛を告げられなかった   吉川宏志


ハナミズキを詠んだ歌や句は意外と少ないのですが、学名がCornus florida(フロリダのミズキ属)であることからもわかるように、原産は北アメリカ。日本で植栽が始まったのは1915年で、当時東京市長だった尾崎行雄が1912年にソメイヨシノワシントンD.C.へ送った返礼として贈られたのがその発端だそうですから、日本ではかなり新しい種なのですね。
そう考えると、水原秋櫻子の「花みづき十あまり咲けりけふも咲く」(『磐梯』1943年)はかなり早い時期にハナミズキを詠んだ句ということになるのでしょうか。ちゃんと確認したわけではないので正確なことはわかりませんが。
植物の歴史は歌や句とともにあるのかもしれません。ハナミズキも、これは2004年に同名の流行歌によって一気に名前が広まったようです。
これ10年前ですか…早いですね。
ではまた来週。